電書09*「米光一成レビュー集・本の雑誌編」

月刊誌『本の雑誌』7月号の特集記事で「電子書籍どうするどうなる座談会」をやるので出席してください。というメールがM村さんから来た。発行人の浜本茂さんに永江朗さん、竹熊健太郎さん、米光一成の3人で、電子書籍がいかに凄いかを、伝えるという座談会らしい。じゃあ、何か準備して、実物を見てもらうのが一番だろう。と考えて思いついたのが、この電書である。
ぼく(米光)は、『本の雑誌』の「新刊めったくたガイド」という新刊を紹介するコーナーを、2005年、2006年の2年間、書いている。
ひたすら新刊を読んで、毎月おもしろいものを選んで、紹介するという 2年間だった。紹介した本は2年で全170冊。読んだ本は、その3倍以上だ。
 思い返してみると、それは確実に修行だった。本を紹介する原稿をいまでも書いているのは、このときの修行のおかげだ。思い出深い。
 時にくじけそうになるときに、幾度か、励まされたことがある。たとえば、杉江松恋さんが“私は感動しました。なにに感動したかというと、米光一成さんが「本の雑誌」5月号に書かれた書評に、である。”(http://homepage3.nifty.com/sugiemckoy/diary/200504-2.html) と書いてくれたことで励まされた。たとえば、編集者のルーさんが「あのガイドのせいで何冊本を買ったと思ってるんですか」と言ってくれたことで励まされた(実際に彼は全170冊中40冊も読んでいるのだ)。その他、いろいろな読者の感想で励まされた。
 というより、ぼくが本を紹介して、その本を読んでくれた人が、感想をぼくに話してくれて、そこで話題が盛り上がったことが何度かあって、それが楽しかった。何かを書くことで、人と人が繋がることができる楽しさを実感できたのは、この連載のおかげだ。
 そして電子書籍だ。書いてから読んでもらうまでの時間がほぼなくなる。距離も自由にできる。手間も格段に減る。出版が、もっと人と人を繋げるハブになるはずだ。だからわくわくしている。

以上、担当米光でした。

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