ジェット返本と本の未来と『誰でも作れる電子書籍』と

『誰でも作れる電子書籍 今すぐできる制作から販売まで』って本が出たよーーー。
電子書籍を出すための、スピリッツ、ハウツー、電書部って何やったの、本の未来ってどうなるの、などなどがギュッとつまってる本です。

これは、読んで終わりっつー本じゃない。読んだところからはじまりっつー本です。なので、『誰でも作れる電子書籍』読書会を、5回ぐらいUstreamでやるよー。
初回は、ゲスト小沢高広。24日の23時から。米光ラジオにて。
読者とワイワイできるといいなーと思っています(もちろん、まだ読んでないって人も歓迎)。ぜひ。

で、もちろん『誰でも作れる電子書籍』は、電子書籍版もあって販売されている。んだけど、こちらはインプレスのスタイルもあって、ぼくたちがやりたいスタイルではぜんぜんない。そこは(正直に書くけど)残念なところ。
でもね、この本は、電書より、紙で読んでほしい本なのだ。

というは。
本って、まとめというか、結論のようなものとして、しっかり綴じられた紙の束として存在するイメージがある。
書籍の「籍」って字は、根っこのはえた感じで、とても象徴的だと思う。
でも、いまや、印刷スピードや、本屋の回転スピードの速さや、出版点数を考えると、そういう本だけじゃなくなってきている。
「ジェット返本」という言葉を聞いた。
本屋に本が届くけど、棚に並べることなく、そのまんま返本されてしまうことがあって、それをジェット返本というそうな。
バカバカしい事態になっている。
これは、なんというか、本屋や出版にとっても一時的な狂騒なのだろう。
電子書籍が普及すれば、そのような本は電書で出せばいい。もっとスローなメディアとしてのメリットをじゅうぶんに活かした書籍がしっかりとしたスピードで作られるといいと思う。
5年後に、書籍出版数が半分になって、値段が倍になってる、というのは、そんなに悪い未来像じゃないと思うのだ。
本屋や流通や出版社だって、空回りの忙しさがグンと減って、しっかりした本をしっかりと扱うようになって、売り上げも落ちていないという状況。
いいでしょ?

で、まあ、そういう意味でいうと、『誰でも作れる電子書籍』は、10年後に、書店の棚にずらーっと残ってるスローな本であるか? と聞かれれば、ノーだ。
もし電書が普及していれば、電書だけで出したほうがいい本である。
でも、そこが、この本のジレンマであって、かつ紙で出す意義なんだけど。「まだ電子書籍が普及していない」だけでなく、どういうものかという認識も曖昧で、実感を持ってない人がたくさんいる、
推測や、憶測だけで、こんなもんだろーっていう発言が、まあ、ネット上だけでも、たくさんある、
電子書籍についての、へんな誤解がたくさんある、
それにまつわる、電書の作り方や、社会の変化が、まだ理解されていないという実状もある、
たとえば、『誰でも作れる電子書籍』電子書籍版が最適なスタイルで販売できないというのは、そのいい実例だ。よくないかッ(自分でつっこんだ)。
なので、電子書籍を読んでいない人にも読んでほしい(インプレスの偉い人も読んでね!)。電子書籍を作るつもりなんてないよ、って人にこそ読んでもらって、「あれれ作っちゃおうかな」って気持ちになってもらいたい。
もちろん、ちょっと興味はあるけど、どうなんだろう?って人には、もっとぜひぜひ読んでほしい。
なので、紙の本として出るのです。
そういう本です。

『誰でも作れる電子書籍http://amzn.to/bg0XPX が届いた! 技術書のような大判の本かと思ったらこれはB5? しかもソフトカバーで私の大好きな体裁。技術的な記述は最小限で,電書の楽しさにあふれた本になってます。これはおすすめ!ma2:twitter
『誰でも作れる電子書籍http://amzn.to/bg0XPX 発売。なんかもう出回ってるみたい。電子書籍の本はたくさんあるけれど、著者はじめ関係者全員が「電子書籍出版経験者」ってのはめずらしいかもしれない。ume_nanminchamp:twitter


電書部部長米光でした。
「こどものもうそう」から転載